看護師として転職先を探すとき、ハローワークの利用を検討したことはありますか?
ハローワークは国が運営する公的な求人サービスで、民間の転職エージェントや求人広告にはない独自のサービスが充実しています。一方で、ハローワークの職業紹介では深い転職相談にのってもらえなかったり、利用時間が限られているなどのデメリットもあります。
今回は、意外と知られていないハローワークよる就業支援内容や、知っておきたい失業給付・就職お祝い金について、看護師試験を目指す社会人の人にも役立つ情報を解説します。
ハローワークと併せて利用すると便利な転職サービスもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ハローワークの正式名称は「公共職業安定所」といい、厚生労働省による就職支援機関です。
国民誰もが利用できる無料の就職支援サービスであり、仕事を探す人への職業紹介や、人を採用したい企業への雇用対策を実施しています。
民間の転職サービスでは就職先を見つけづらい人や、障害者や生活保護受給者など特殊な事情がある人へのサポートも行っているのが魅力です。全国に544か所の事業所があり、自治体と連携しながら地域に根ざした就職支援を行っています。
また、ハローワークでは、退職後に行う失業保険の給付手続きも受け付けています。他にも未就職者や正社員で働くことを目指す人、子育て中の母親など、支援対象を絞った専門窓口もあります。
マザーズハローワークは、子育て中の求職者をターゲットにした専門支援窓口です。子育て中の女性はもちろん、母子家庭の母親・父子家庭の父親も支援対象に含まれています。
マザーズハローワークでは、転職相談をしているあいだ子どもを隣に座らせておけるチャイルドシートや、子どもが遊べるキッズコーナーが用意されています。子ども連れでも相談に行きやすく、民間の転職エージェントにはあまりない特徴といえます。
就業支援には専属の担当者が付くので、各個人の希望・状況をしっかり把握した、きめ細やかなサポートが受けられます。
なお、厚生労働省では、母親の就職支援のほかにも、若者に特化した「わかものハローワーク」や外国人に特化した「外国人雇用サービスセンター」といったサービスも提供しています。
ハローワークが提供する、看護師向けの転職支援にはどのようなものがあるでしょうか。
職業紹介や雇用保険の手続き、企業向けの雇用促進内容など3つにわけてご紹介します。
ハローワークは転職支援活動の一環として、職業紹介、職業相談、求人票の開示、職業訓練の受講あっせんといったサービスを提供しています。
転職をお考えの方の多くは、今の職場に何らかの不満を抱えているものです。それゆえ、単に仕事をあっせんしただけでは、悩み解決に至らないこともあります。
ハローワークでは、専任のスタッフが求職者の悩みに応じて、適切な求人を紹介します。希望の転職先が見つからない、スキル不足で転職が難しいといった課題が見つかった際は、職業訓練でスキルアップを促すなど、長期的な目線で求職者の転職を支援しています。
ハローワークが発表している常時雇用の就職件数によると、毎年130万人以上の人がハローワークの紹介で仕事を見つけています。もちろん、看護師のような専門職もハローワークの守備範囲です。
求人数の豊富さに加え、地域に根差した企業が多いのもハローワークの特徴です。地元の看護師求人を探している方や、地方への移住を考えている方にはとくにおすすめです。
ハローワークでは担当職員から求人の紹介を受けられる以外にも、スキルアップになるスクールや学習講座に通うと費用の一部が給付される「職業訓練」の紹介なども行っています。
その他にも、雇用保険の一定の加入条件を満たすと、離職中の生活費などに使える「失業給付」が受けられます。
看護師としての現職が忙しくなかなか転職活動の時間をとれない人は、一度離職をして、失業給付を受け取りながら転職を行うことも可能です。詳しい手続き方法は、最寄りのハローワークに問い合わせてみましょう。
また、これから看護師を目指したい人が雇用保険の一定条件を満たすと、看護師の勉強をする専門学校費用などをサポートしてくれる「教育訓練給付」も利用できます。看護師を目指したかったけれど、専門学校の金銭的・通学期間の問題で諦めていた人は、一度検討してみるのもよいでしょう。
教育訓練給付金に関しては、厚生労働省の資料やハローワークの公式サイトをご確認ください。
厚生労働省『専門実践教育訓練給付制度のご案内 』
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000366116.pdf
全国のハローワーク所在地
https://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
ハローワークでは求職者への職業紹介だけでなく、人を雇う側である企業への雇用対策も行っています。
自治体と提携し、地元企業が継続的な雇用を続けられるよう助成金を出したり、人手不足に悩む職場に求職者をマッチングしたりと、雇用を作り出すサポートを行っています。
具体的には、母子家庭の雇用受け入れ先が増えるよう企業に働きかけたり、新卒採用での就職が叶わなかった若者が正社員雇用されるよう促したりと、間接的に皆さんの転職機会を増やす取り組みを行っているのがポイントです。
また、障がい者や高齢者など、受け入れ先企業が少ない方々のために、採用枠を設けるよう企業に働きかける活動も行っています。
先ほどご紹介した失業給付や職業訓練などの手続きも、すべてハローワークが一貫して行っているので、看護師以外の転職活動でも活用機会が豊富といえます。
(参考元『公共職業安定所(ハローワーク)の 主な取組と実績』https://www.mhlw.go.jp/content/000735217.pdf)
ハローワークに登録されている求人情報は、インターネットサービスからも閲覧可能です。
2021年5月現在、看護師・准看護師の求人は、全国に約5万件以上となっています。
入院病棟のある病院や、日帰り通院を中心とするクリニックのほか、デイサービスや老人ホームなどの高齢者向け施設の看護師・准看護師求人もそろっているので、一度覗いてみるとよいでしょう。
ハローワークの利用手順を、3ステップにわけてご説明します。
まずは利用者登録を行い、希望条件に合う求人情報を検索。応募したい求人情報が見つかれば、ハローワーク職員を通して、書類選考や採用面接へと進むといった流れとなります。一つずつステップを確認していきましょう。
ハローワークの所在案内は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
https://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
まずは、住んでいる地域のハローワークを訪問し、窓口で求職情報の登録をしましょう。
設置されているパソコンを使い、住所や希望条件・職種、労働条件、保有資格などを登録します。パソコンの操作に不安がある人は、所定の書式に記入でも登録可能です。事前にインターネットから、求職情報の仮登録を済ませることもできます。
職員が登録内容を確認し、ハローワーク受付票が発行されれば、求人情報を紹介してもらえるようになります。
登録が完了すると、職員へのキャリア相談や、希望条件に合う求人情報を紹介してもらえます。
求人情報は職員からの紹介だけでなく、パソコンを使って自分で検索することもできます。
看護師の求人を探すなら、「看護師」や「准看護師」を選んで検索しましょう。
検索はハローワークインターネットサービスからもできます。
求職情報の登録をしてから利用すると、「求職者マイページ」にお気に入りの求人情報を保存でき、応募先の比較検討に便利です。
応募したい求人情報が見つかったら、ハローワーク職員を通して書類選考や面接に進みます。
ただし転職エージェントとは違い、面接予定の企業や業種・職種については、自分自身で情報収集しておく必要があるので注意が必要です。
給与面や休暇日数など、面接時に聞きづらい事柄があっても、ハローワークでは代わりに確認してもらえないのがデメリットといえます。応募先企業とのやり取りに不安がある人は、転職エージェントなどを併用すると安心です。
ハローワークで利用できるサービス概要や、利用手順を理解できたところで、改めてハローワークで看護師が転職をするメリットを確認してみましょう。
ハローワークの中でも、マザーズハローワークはとくに子ども連れで利用しやすいのがメリットです。
転職相談のたびに、子どもの預け場所を探す必要がありませんし、施設内には子どもを遊ばせておけるキッズスペース、チャイルドシートなどが用意されています。紹介される求人情報も、保育園や習い事の送迎や急病・学校行事にも対応しやすいものを優先的に紹介してもらえるので安心です。子育て中の就職・転職活動をする方にとって心強いサービスといえるでしょう。
ハローワークを正しく利用すれば、離職中の生活保障として失業給付がもらえたり、早めに就職先が決まったら就職お祝い金が受け取れたりするのがメリットです。
これらの給付を受けるためには、離職前の会社で雇用保険に加入していることが条件となります。雇用保険とは、働く人々の雇用の安定や就職の促進などさまざまな支援を行う公的な制度です。フルタイムで働く看護師であれば、基本的に雇用保険の加入条件を満たしているので、一度離職してから仕事探しをする人にぜひ活用してほしい制度です。※1
失業給付や就職お祝い金のほかにも、看護師資格の勉強を後押ししてくれる教育訓練給付制度もハローワーク利用のメリットといえます。
医療系の資格やビジネス全般に共通するスキルを身に付けるのはもちろん、看護師試験を受けるために通う、社会人向けの専門学校も給付対象の場合があるので、一度調べてみることをおすすめします。
※1 参考:雇用保険の加入条件
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken/pdf/roudousha01.pdf
ハローワークは地域の雇用を促進させる目的があるので、転居しなくてもよい職業紹介を優先しています。地元内で看護師として転職したい人には大きなメリットといえるでしょう。
看護師を雇う病院やクリニック・高齢者施設も、地域の事情を知っている人材を求めて、ハローワークに求人を出しているケースがあります。
こういった地域密着型の職場では、他の求人情報サイトを併用せず、ハローワークでのみ採用活動を行っていることも多いです。
子連れでも利用しやすく、お祝い金・支援金が充実しているハローワークですが、ハローワークの転職活動にはデメリットもあります。メリット・デメリットの両方を知り、うまく活用するようにしてくださいね。
ハローワークは民間の求人サイトとは異なり、募集をかける企業側は無料で利用できます。
そのため募集期間が終わっても求人情報が削除されずに残ってしまったり、採用条件や待遇面の情報が不十分だったりするのがデメリットといえます。ハローワークの職員は、民間の求人サイトのように細かく求人票を確認しきれていないため、必ず自分で必要情報を調べる努力が必要です。
ハローワークを利用した転職活動では、対応する職員レベルが不安定な点も理解しておきましょう。ハローワークは転職エージェントのように、求職者をサポートしても費用が発生しません。
転職エージェントは1人の採用決定をすれば、紹介先企業から百万円単位で報酬が発生するビジネスモデルのため、求職者向けのサポートも手厚くなりやすいのです。
もちろん、人と人の相性もあるので、ハローワークの職員レベルが低いとは一概に言えません。親身な態度で相談に乗り、熱意を持って支援してくれる職員もいれば、淡々と事務的に進める職員もいると理解しておきましょう。
ハローワークでの転職支援サービスが受けられるのは、基本的に平日となります。
時間帯も8時30分から17時15分となっているところが多く、土日祝日や夜遅い時間には利用できないのはデメリットといえます。
看護師のように勤務時間が不規則になりやすい職種は、オンラインや電話面談が充実している転職エージェントを併用するとよいでしょう。
最後に、ハローワークを利用した転職活動が向いている人の特徴をまとめました。これから転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
<ハローワークの利用がおすすめな看護師のタイプ>
ハローワークでは、拠点ごとに管理している地域の求人情報に強い傾向があります。
「これからも住み慣れた地域で働きたい」、「子どもの学校の都合もあるので転居はしたくない」といった方にはハローワークがおすすめです。
また、保健所や公立病院など、行政機関・公的機関で看護師として働きたい人にも、ハロワークの利用が良いでしょう。こうした公的な医療関係施設は、民間の転職サービスにはあまり求人を出していないためです。
その他にも、自分のペースで転職活動を進めたい人は、転職エージェントよりもハローワークの利用があっているかもしれません。また、メールやチャットツール、オンライン面談などのインターネットを活用した転職サポートに苦手意識がある人も、ハローワークならば安心して利用できるでしょう。
ハローワークは、就職・転職に向けた支援を無料で行う公的機関です。
看護師の求人情報も多数あり、子ども連れでも利用しやすい設備が整えられ、地元の求人に強いといったメリットがあります。
しかし、求人情報のチェック体制が甘く、サポートにあたる職員のレベルもまちまちです。
利用時間が限られてしまうというデメリットもあり、効率よく転職活動を行うには民間の転職サービスと併用すると良いでしょう。
転職エージェントの中には、特定の仕事に特化したものもあり、看護師として働くならナースバンクという看護協会による職業紹介所があります。
子育てによるブランクがある看護師向けの復職支援や、病院の人事担当者を招いたイベントを開催し、看護師としての転職に特化したサービスが受けられます。ハローワークの利用に迷ったら、ぜひナースバンクにご相談ください。
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