美容看護師とは、美容に特化した現場で働く看護師です。一般の病院や外来診療所と比べると、仕事内容が異なる部分もあります。
美容系の資格がないと美容看護師になれないと思うかもしれませんが、実は未経験からでも美容看護師になることは可能です。
この記事では、美容外科や美容皮膚科で働く美容看護師の仕事内容や、1日の流れを解説します。未経験から美容看護師になりたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
美容看護師とは、美容外科や美容皮膚科などの美容クリニックで働く看護師を指します。
美容クリニックでは、患者さんの受診目的は病気・ケガの治療ではなく、美しさや理想の見た目になりたいなどの希望を叶えることが中心となります。そのため、美容クリニックで働く看護師と患者さんの関係性は、「治療に受けに来た患者さんと看護師」ではなく「美容サービスを受けるお客様と医療・美容の専門知識のある看護師」となるのが相違点です。
仕事内容は、医師の指示のもとで施術や介助を行うことや予約患者への対応が中心となります。急患対応による残業や日勤・夜勤のシフトもなく、勤務時間も一定であることが多いです。
雇用形態は正社員待遇からパートまで、クリニックごとに違うものの、いずれも給与や福利厚生が充実する傾向となっています。看護師の仕事の中でも人気があり、求人募集の競争率は高いのも特徴です。
美容看護師は、未経験からでも看護師資格があれば誰でも挑戦できます。他の看護師に指示を出す管理職になることも少ないので、准看護師でも問題ありません。
医師の補助や患者さんの介助、施術に必要な注射などの業務を一般の病院勤めで経験していれば、美容看護師の仕事でも活かすことができます。エステティシャンなどの美容関連資格を持っていると歓迎される場合もありますが、必須条件ではありません。
美容看護師の主な勤務先は、以下の4つに分けられます。
4つの勤務先と仕事内容について、詳しく解説していきます。
外科手術で「美しくなりたい」という患者さんの要望に応えるのが美容外科の役目です。施術内容は30分程度で完了する軽微なものから、数時間かかる手術まで様々です。患者さんの希望に対し、即効性のある施術が多いのも特徴といえるでしょう。
クリニックによって扱う施術内容も異なり、看護師に臨床経験が必要とされることもあります。そのため、新人看護師や美容看護未経験者では難しく、一般の病院や美容皮膚科などでの経験を経て転職するケースが多いようです。
美容外科の仕事内容の大きな特徴はオペの補助がある点です。以下が主な業務内容となります。
オペの補助では医師が素早く手術できるよう、的確なサポートが重要となります。また、施術前後には器具や薬剤の準備や後片付けも行います。
まぶたの二重手術やシリコン・ヒアルロン酸注入といった軽微なものは短時間で完了しますが、大掛かりな整形手術は時間がかかり、患者さんの体にも大きな負担がかかります。美容外科で働く美容看護師には、術後の経過をしっかり見る観察力や判断力も必要となります。
美容皮膚科は、肌を美しくしたいという患者さんの希望を叶えるのが仕事です。なかにはアレルギーや皮膚炎など、治療を要する肌悩みに対応する一般の皮膚科を兼ねたクリニックもあります。
美容外科は施術が1回きりまたは短期間で終わるケースがほとんどですが、美容皮膚科は内服薬・外服薬を処方し、長期的な受診となることも少なくありません。
外科手術は行わないため、未経験からでも比較的転職しやすい勤務先といえます。
美容皮膚科では外科手術を行わないので、レーザー照射や注射などが中心となります。業務内容は以下の通りです。
医師の指示の下、看護師の手で施術する仕事が多く、患者さんの変化を間近に見れる仕事もあります。美容皮膚科では、看護師と患者さんの接する時間が長いのも特徴です。
一般の皮膚科での治療を終えた後に、肌をもっと美しくしたいと考え受診する患者さんもいます。受診される患者さんの希望を把握し、希望に寄り添った対応が求めらるでしょう。
美容皮膚科でも医療脱毛に対応している場合がありますが、医療脱毛専門クリニックはさらに脱毛分野に特化しています。短期間で効果があり、レーザー脱毛特有の痛みを軽減した最新技術を導入しているのも特徴です。
医療レーザーの照射だけでなく、医療針を使った脱毛を行うクリニックもあり、施術箇所や毛量・毛質に合わせた脱毛を実施します対応する分野が脱毛に限定されるため、美容看護師の経験が浅い・未経験の場合でも転職しやすい勤務先です。
医師の指示の下で行う脱毛施術が業務の中心であり、看護師主体で完了する施術も少なくありません。以下が業務内容の例です。
脱毛では、毛の生えるサイクル「毛周期」に合わせた複数回の施術が必要となります。美容皮膚科と同じく、一人の患者さんに接する回数・時間も多くなるので、一人ひとりに寄り添う姿勢も重要です。
施術箇所によっては患者さんが恥ずかしく感じ、相談しづらかったり、施術をためらったりするケースもあるでしょう。患者さんの気持ちを考え、安心してもらえるような接し方が必要です。
近年、美容は女性だけのものではなく、男性向け美容の需要も高まっています。メンズ専門クリニックは、文字通り男性のための美容クリニックです。男性ならではの体毛やヒゲの悩み、薄毛・AGAなどの治療を主に扱っています。
豊胸手術や脂肪吸引といった、外科的な施術は少ないのも特徴です。患者さんとなる男性への配慮から、男性看護師の需要が高い職場でもあります。
メンズ専門クリニックは、男性特有の悩みに寄り添う施術が多くなっています。主な業務は以下のとおりです。
男性向けの医療脱毛は、痛みを和らげる処置が必須になることもあります。女性と比較して男性のヒゲ・体毛は太くて濃い傾向にあるため、レーザー照射時に強い痛みを感じるケースも珍しくありません。こうした痛みを緩和させるため、麻酔クリームの塗布などをします。
また、男性特有の悩みとして、薄毛・AGAに対応しているクリニックもあります。頭皮環境を整え、発毛を促す治療の介助は、他のクリニックではなかなか経験できない貴重な体験になるでしょう。
他にも汗やニオイが気になる患者さんのため、ワキガや多汗症の治療をしているクリニックもあります。
美容看護師の1日の流れは、下記のようになっています。
・9時30分頃 出勤、開院準備
朝礼や院内の清掃をし、申し送り事項があれば確認
・10時～12時 開院、午前診療
予約患者の受付対応や施術、患者ごとのカルテ記入
施術後の後片付けも都度行い、清潔な環境を保つ
・12時～13時 お昼休憩
休診時間を設けないクリニックの場合は、交代で休憩を取る
・13時～18時 午後診療
午前と同じく、受付対応や施術、カルテ記入
・18時 受付終了、閉院準備
翌日の予定を確認し、薬剤などの美品をチェック
・19時 退勤
清掃や終礼をして退勤
美容クリニックでは、治療内容や患者さんの抱える問題が一般の病棟や診療所などとは大きく異なります。また、仕事内容はもちろん、患者さんとの向き合い方や必要とされる知識にも違う点が多々あります。
このような違いが美容看護師特有の魅力、やりがいにつながっています。ここでは、美容看護師ならではの仕事とやりがいについて紹介します。
美容クリニックでは、他の診療科に比べ看護師主体の施術が多いです。
一般的に外科手術で看護師ができる業務はオペの補助や患者さんの介助、術後のケアに留まります。対して、美容クリニックで行う注射やレーザー照射による軽微な施術は、看護師でも対応可能です。
患者さんと直に接する機会も多いので、コミュニケーション能力も必要とされます。同時に患者さんの抱える問題を直接解決できるので、やりがいを感じやすいでしょう。
美容看護師は病気・ケガの治療ではなく、患者さんのコンプレックス克服を手伝うのが主な仕事内容になります。
健康な患者さんが相手であるため、命に関わる深刻さはありません。しかし、患者さんが施術を通して前向きになれるよう、心に寄り添う姿勢が必要になります。
患者さんによっては、恥ずかしさから解決したい問題点を素直に言えないケースもあるでしょう。信頼され、気軽に話せるような接し方も、美容看護師には重要となります。
美容看護師の仕事では、美容に特化した医療分野の知識が求められます。また、現場の仕事を通して得られる知識・経験も美容分野に限定されるでしょう。
そのため、美容看護師から病棟や臨床現場への勤務に戻ろうとしても、看護師のキャリアとして評価されにくい部分があります。
美容看護師になる場合は、働き方や目指すキャリアを考えた上で挑戦すると良いでしょう。
美容看護師は、施術を担当する医師や受付カウンセラーと協力して患者さんに対応します。クリニックによっては、美容看護師が受付カウンセラーの役割を担うケースもあるでしょう。基本的にチーム人数が少ないため、医療専門職でない人もスタッフに加わることもあります。
対して病院看護師では、担当医師はもちろん薬剤師や放射線技師など、医療専門職によるチーム体制を取ります。複数の医師が連携したり、看護師同士が協力するなどして患者の介助にあたることもあるでしょう。このように、同じ看護師の職種でも、一緒に働く人は大きく異なる点を理解しておくと良いでしょう。
美容看護師の仕事は、患者さんのコンプレックスに向き合い、最先端医療を駆使しながら悩み解決を行うことです。健康な患者さんを相手にするため、向き合い方や求められる知識が一般病院と大きく異なります。
美容クリニックでは医師の補助だけでなく、注射や照射などの看護師主体の施術も多く、やりがいを感じやすいでしょう。病院勤務や臨床での、看護師経験を活かすことも可能です。看護師資格があれば就ける仕事なので、未経験でも興味があれば挑戦してみるとよいでしょう。
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