高収入で夜勤や残業があまりないことから、看護師の転職先として美容看護師への注目が高まっています。しかし美容看護師は「若くて見た目がきれいな人しか受からない」と考え、転職は無理だと諦めている方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、30代後半を過ぎると美容看護師への転職難易度は上がります。 美容看護師への転職の実態や、求人年齢に関する正しい知識を身につけ、転職をスムーズに進めていきましょう。
一般的な病院などで働く看護師であれば、50代以降であっても転職は可能です。しかし、美容看護師への転職については、30代後半を過ぎると転職難易度が上がるのが実情です。実際に求人広告をチェックしても、「35歳以下」「20代が多数活躍」などと記載しているクリニックがよく見受けられます。
一般的に企業は長く働ける若い人を求める傾向が強く、若い人が不足しがちな美容看護師においては尚更その傾向が強いと推察されます。したがって、30代後半以降での転職が難しい状況になっていると考えられます。
上記はあくまで考察のひとつではありますが、美容看護師への転職活動は35歳までに始めるに越したことはないのは事実でしょう。
美容クリニックの求人情報には、はっきりと「35歳未満」と記載されているケースと、やんわりと「20・30代が多数活躍」などと説明されているケースがあります。「年齢制限があるのならはっきりと書いてくれればいいのに」と思う人もいるでしょう。
実は、求人広告には「禁止されている表現」があり、年齢もそのうちの一つです。禁止されている表現が含まれると、制度に違反する場合があるのです。
はっきりと記載されていない場合でも年齢制限が想定されている求人もありますので、見極め方をおさえておきましょう。
ハローワークや転職サイトだけでなく、最近では自社のホームページに求人情報を掲載している企業も増えてきました。基本的にはどの求人でも「年齢差別の表現」「性差別の表現」「差別・優遇の表現」「実態と異なる記載」の4つを記載せずに公開することが前提とされています。
募集・採用の際の年齢制限は、「年齢にかかわりなく就職に対して均等な機会を与えなければならない」という理由から、2007年10月1日にスタートした「改正雇用対策法」によって「原則禁止」となりました。
では、なぜ現在でも「35歳以下」などの年齢制限を設けている求人があるのでしょうか。その理由が理解できれば、求人の見極めがスムーズになります。
参考 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/topics/tp070831-1.html
年齢制限は「原則禁止」であり、一部例外が認められています。「雇用対策法施行規則」によりいくつかの例外事由が定められていますが、美容看護師の求人においては「省令3号のイ」が頻繁に使われています。
「省令3号のイ」とは、長期勤続によるキャリア形成を目的としている場合には若年者等（基本的には35歳未満と想定）に限定して募集できるというものです。ただし、無制限に認められるわけではありません。あくまでもキャリア形成が目的であるため、
・待遇は新卒者と同等にすること
・実務経験があることを応募資格に加えないこと
が条件となります。
「省令3号のイ」のほかにも、危険業務や夜勤などを理由に一定年齢以上でないと募集できない場合なども例外として認められています。
厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」：
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/topics/tp070831-1.html
「省令3号のイ」に該当しない美容クリニックの求人でも、業務内容やクリニックの状況に応じた“希望する年齢層”が存在することもあるでしょう。
人気が高い美容看護師の求人では一度の募集に多くの応募者が殺到することも多く、採用側の手間を考えると、できる限り応募者を絞りたいと思うのも無理はありません。そこで、実際にクリニックで働いている人の年代を記載することで、応募者に希望する人物像を察してもらおうとするのです。
「20～30代が活躍」と書いてある求人では、応募年齢が20～30代の人を優先させることが予想されます。ただし、「必ず20～30代の人しか採用しない」という意味ではありませんので、あくまでも目安として捉えるようにしましょう。
美容クリニックの求人のなかには、お客様の年代が記載されているケースもみられます。これも②と同様、直接的な表現を避けて年齢制限を伝えていると考えられます。
美容クリニックでは、各クリニックがメインとするケアによっても採用の多い年代が異なります。医療脱毛やプチ整形などをメインとしているクリニックでは、比較的若い年齢層のお客様が中心となります。お客様からの共感や円滑なコミュニケーションを期待して、同年代の若い看護師を求める傾向にあるのです。
ただし、この場合も必ずお客様と同年代でなければ採用されないわけではありません。たとえ異なる年代であっても、お客様とのやりとりがスムーズにできるのであれば積極的にアピールするようにしましょう。
美容クリニックの求人では、一般的には30代前半までの募集が多く、30代後半や40代だと年齢制限がある可能性が高いことを紹介してきました。採用方針で年齢制限がある以上は、やはりターゲットゾーンの年齢の人の方が採用されやすいのが現実でしょう。
しかし、実際には30代や40代の看護師が美容看護師への転職を成功させている例もみられます。ここでは年齢を気にせずに美容看護師への転職を成功させるコツを解説します。
美容クリニックのなかには、自由診療を単独で行うところと、自由診療と保険診療を併設しているところがあります。一般皮膚科などの保険治療も扱うクリニックでは来院する人の年齢層の幅も広いため、看護師の年齢をあまり重視しない傾向にあります。
また、採血や点滴といった美容医療に限定されない業務内容であるため、採用時にこれまでの看護師としての経験を重視してもらいやすい場合があります。一般医療の仕事からも大きく離れることにならないため、その後に転職を考えた場合にも有利でしょう。自由診療も扱う分、一般的なクリニックの平均月収よりも高めになることが多いのも大きなメリットです。
若くないと採用されないイメージが強い美容クリニックですが、実は2年以上の臨床経験があることが理想とされています。特にオペ室や外科、皮膚科の経験は美容クリニックへの転職でも非常に大きなポイントで、手術経験のある看護師は30代後半であっても採用可能性が高まるでしょう。
また、美容外科クリニックは現状に悩みを抱える人が「美しくなりたい」と思って訪れる場所です。そのため、見た目の美しさよりも親しみやすさや接遇力などが重視されます。
美にまつわる施術を行う場ですので、清潔感と美意識の高さも大切です。清潔感は生まれつきの容姿に関わりませんし、清潔感を保つためには高い美意識が必要です。
上記のような経歴やスキルを積極的にアピールするとよいでしょう。
美容看護師への転職を成功させるためには、転職エージェントに相談するのもおすすめです。
求人広告上では「年齢制限なし」と記載していても、エージェントには「できれば20代がほしい」と話しているケースが多いです。実際はどんな人物を求めているのか、何歳まで応募ができそうかという情報を保有するエージェントを頼ることで、効率的に転職活動ができるでしょう。万が一、企業の希望する年齢条件に合わなかったとしても、エージェントが間に入って応募条件の交渉をしてくれたり、企業に推薦状を出してくれたりする場合もあります。美容看護師の求人が気になる人は、まずはエージェントに無料相談してみると良いでしょう。
あくまでも一般論ではありますが、40代以降となると、美容看護師への転職や、転職そのものの難易度が上がるといわれています。
ここでは、なぜ40代以降の転職が難しいのかを解説します。その理由を知り対応策を考えておきましょう。
会社によって価値観はさまざまですが、一般的には「年齢を重ねるほど、性格や仕事の進め方を変えるのが難しくなっていくのではないか」と危惧される傾向にあります。
40歳といえば、これまでに築き上げた経験や培ったスキルがすでに確立されている年齢です。20代と40代の応募者を比べたとき、未経験で何色にも染まっていない20代のほうが育てやすいと考える企業も多いようです。
また、「将来性」という意味からも、今後どちらが長く働き続けるかと考えたときにはやはり20代に投資したいと判断することも多いのでしょう。
美容クリニックで看護師がおこなう業務の多くは、一般の医療現場しか経験していない看護師にとっては初めて経験するものばかりです。このため、同じ看護師であっても、医療業界から美容業界への異業種転職とも受け取れます。そうなると、「初めての業種にどれだけ適応できるか」ということが大きなポイントになります。
適応力は、看護師に限らずどんな人でも30歳を過ぎると次第に低下していく傾向にあります。それと比例して自分の考え方や働き方が確立していくため、合わないものや新しいものを受け入れにくくなってくるのです。もちろん年齢を重ねても、新しい仕事にどんどんチャレンジしていくタイプの人もいますが、新しい知識を0ベースで身に付けるには、若い方が有利であるといえるでしょう。
美容看護師は、臨床経験が活かせる仕事です。容姿よりも清潔感やお客様への接遇スキルが重要といわれますが、どうしても年齢で制限を受けやすい職種であることには違いありません。加えて、40代以降の転職は美容看護師でなくとも難しいと言われるケースが多いため、一度転職エージェントに相談することをおすすめします。
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