日本政府が副業・専業を推奨するようになり、医療業界でも副業に関する動きが活発になっています。実は、看護師 副業や投資をできる時間を作りやすい職種といわれています。勤務シフトが2交代・3交代と決められていることから、あらかじめ働く時間帯が分かっており、副業や投資の予定も立てやすいためです。副業を検討している人や、同僚が副業を始めたという人も多いのではないでしょうか。
ひと口に副業といってもその種類はかなり多く、日勤や夜勤など不規則な勤務形態の多い看護師でも、スキマ時間を使って効率的にできるものも多数あります。
今回は、副業の基礎知識や看護師におすすめの5つの副業と5つの投資方法を詳しく紹介します。これから「副業したい!」と考えている人は、ぜひ一読ください。
そもそも「看護師って副業をしてもいいの」と不安を感じている人もいるでしょう。看護師は問題なく副業ができる場合と、副業ができない場合があります。
まずは、看護師の副業に知っておきたい基礎知識を詳しくみていきましょう。
都道府県や市町村など自治体が運営する病院に勤務する看護師は公務員に該当するため、副業は法律で禁止されています。
一方、公務員でない限り、看護師でも副業することができます。副業禁止となっている場合でも、法律的に見ると企業は従業員の副業を禁止することはできません。これは、憲法22条によって「国民の職業選択の自由」が保証されているからです。
ただし、就業規則に副業禁止の規定があり、本業に影響を及ぼす場合などは処分の対象となるケースもあるため、注意も必要です。副業について規定がない場合は、会社に確認するのがよいでしょう。
2018年に厚生労働省によって が策定され、社会的に副業や兼業を認める動きが高まっています。副業が禁止されている場合でも、病院側と交渉を行うことで副業が認められることもあります。民間病院の場合は、禁止されている=副業できない、とはならないため、働きかけ次第で副業解禁を目指すことができるでしょう。
副業が労働者の権利として認められていることから、民間病院に勤めていれば基本的に副業は認められます。しかし、就業規則で副業禁止が明記されている場合、副業をすれば契約違反として処罰される可能性があります。
厚生労働省が発表している「モデル就業規則」には、副業を禁止できるケースについて記載があります。
「次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合」
(引用:モデル就業規則)
よって、上記のような「本業に支障が出る」「情報漏洩のリスクがある」という場合は、副業が問題視されるでしょう。就業規則は企業ごとに異なるため、副業についての記載をよく確認してください。
副業を病院側の許可なく行い、バレてしまった場合は、厳重注意・減給・降格・解雇などの処分を受ける可能性があります。ただし、就業規則と法律は異なるため、許可なく副業をしても即刻解雇となるケースはそう多くありません。
なお、公務員は副業が禁止されているので、バレた場合は減給や停職、免職などの懲戒処分が下されます。
収入アップの手段として副業と比較されやすいのが、「投資」です。投資は資産運用に分類されるため、副業とは異なります。副業が「労働した対価として本業以外に金銭を得る行為」と定義されるのに対し、投資は「資産を運用して金銭を増やす行為」です。そのため、副業を禁止されている職場で働く看護師や、公務員であっても資産運用はすることができます。
資産運用というとハードルが高く感じますが、資産運用には不動産投資や株式投資、NISA、FX、債券、貯金などさまざまな種類があります。もちろん難易度が高い・リスクがあるという資産運用もありますが、初心者でも手が出しやすい資産運用もあります。副業を禁止されている看護師や、看護師やの収入を増やす手段として一考の余地はあるでしょう。
看護師が副業をするなら、資格や専門性を活かした以下の5つの副業がおすすめです。
・医療系ライター
・訪問介護・デイサービス
・検診ナース
・イベントナース
・病院やクリニックでのアルバイト
ここからは、上記の5つの副業について詳しく紹介します。
医療系ライターは、医療分野の専門的な知識が必要になることも多く、看護師の資格を活かせる副業です。とくにWebライティングは、パソコンやスマホがあればいつ、どこにいても執筆できるため、スキマ時間や休日などを利用して稼ぐことが可能です。
医療関連の記事の作成では、医療の専門家が重宝されるため、看護師資格があるというだけで案件が獲得しやすくなります。一般的な記事であれば文字単価は0.5円~1円程度が相場ですが、医療関連の記事であれば2円以上も十分目指せます。
文章を書くのが得意といった看護師は、医療系ライターに挑戦しやすいでしょう。
訪問介護やデイサービスのアルバイトも、副業として稼ぐ有効な手段です。アルバイトというと、週に2,3回働くというイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、訪問介護やデイサービスのアルバイトは、週1回や単発OKの求人も多く、本業が忙しい看護師でも働きやすいメリットがあります。
時給は1,200円~1,500円程度が相場です。新たな職場での経験は勉強になることも多く、看護師として介護の分野で経験を積み、更なるスキルアップを図りたいといった方にも向いています。
検診ナースの副業は、企業などで実施される健康診断や人間ドックでの看護師としてのアルバイトです。身長や体重測定、採血、心電図など一般的な健康診断を行う仕事もあれば、CTやMRI測定など人間ドックの補助をする仕事もあります。健康診断では1日に数十人単位の採血をするケースも多く、採血を苦手とする看護師には不向きな側面もあります。
時給は1,500円程度が相場。1日のみなど単発の求人も多いため、休日などを利用して無理なく稼ぐことができるでしょう。
イベントナースは、スポーツ大会やコンサート会場、花火大会などさまざまなイベント会場で、救護室に来た怪我人や病人を看護します。救護室を訪れる人に応急処置や救急対応を行い、必要であれば救急車を呼び、医療機関へ引き継ぐこともあります。
単発の求人が多く、時給は1,500円程度です。朝から夕方まで丸1日働くことがほとんどで、日給にすると1万円程度稼ぐことができます。求人数が少ない分、募集が埋まりやすく、年間を通して人気の高い仕事です。
病院やクリニックでのアルバイトも、副業として稼ぐのにおすすめです。たとえば、日勤帯で働く看護師が、2日間の休みを利用して他の病院で夜勤専従看護師のアルバイトをすることも可能です。夜勤専従看護師のアルバイトは、1回の夜勤で3万円程度と単価が高いのが大きな特徴といえるでしょう。
他にも、総合病院や大学病院で働く看護師が、クリニックでアルバイトをするケースもあります。病棟勤務に比べてクリニックの仕事は肉体的・精神的に負担がない業務も多く、比較的働きやすいと感じる職場も多いでしょう。時給は1,500円~2,000円程度が相場であり、単発や週1回勤務の求人も多くあります。
病院やクリニックでのアルバイトは稼ぎやすい一方で。本業+副業の労働時間が長くなり、体調不良や寝不足になりやすい一面も。本業をおろそかにしないようくれぐれも注意が必要です。
「投資に興味があるけれど、何から始めればよいのか分からない」という人も多いのではないでしょうか?初心者が投資を始めるなら、低額投資が可能な比較的リスクが少ないものを選ぶのがおすすめです。
・NISA
・株式投資
・投資信託
・債権(国債)
・外貨預金
ここからは、投資初心者の看護師におすすめの5つの投資方法を詳しく紹介します。
NISAは、少額投資非課税制度を指します。通常の投資では、利益に対して税率20.315%がかかります。一方でNISAを利用すれば、投資で得た利益が最長5年間非課税となり、年間120万円まで投資が可能です。
NISAよりもさらに初心者向けの投資が、「つみたてNISA」といいます。つみたてNISAは、投資で得た利益の最長20年間が非課税となり、年間40万円まで投資が可能です。金融庁の定めた基準をクリアした商品から選んで、少額を定期的に積立し、分散投資を行います。毎月積み立てる場合の金額は、月額3万円程度。
ただし、NISAとつみたてNISAはどちらかしか選べません。日本に住む20歳以上が対象となり、1人につき1口座の利用が可能です。知識や投資経験のない初心者には、つみたてNISAのほうが運用のハードルが低く、おすすめです。
「少額から投資を始めたい」「看護師としての給与がそう多くない」という人なら、つみたてNISAを利用するのがよいでしょう。
株式投資は、企業の発行する株を売買して利益を得る投資方法です。出資者は、企業の利益の一部となる配当金や、購入時よりも高い値段で株を売ったときの差額を得る売却益、企業が商品やサービスを提供する株主優待などを受け取ることができます。
株式投資と聞くとリスクが高く、初心者には難しそうなイメージを持つかもしれません。しかし、売買の仕方や投資のルールなどの基礎知識をしっかりと理解し、こまめに情報収集を行えば、初心者でも株式投資を行うことが可能です。
また、株式投資は社会経済の流れを理解し、企業のことをより深く知るきっかけにもなります。「株式投資に興味がある」「パソコンやスマホで日頃から情報収集を行うのが好き」といった看護師におすすめの投資です。
株式市場を日々チェックし、情報収集を行うなど株式投資にハードルの高さを感じる人は、投資信託がおすすめです。投資信託は、投資家から集めた資金を元に専門家が株式や債券に投資をする方法です。
投資のプロである専門家に任せられるのは、その分野の経験や知識のない看護師にとって大きなメリットになるでしょう。また、「情報収集に時間を割くのが難しい」などといった忙しく働く看護師にも向いています。しかし、投資信託は、手数料や管理費用が発生するため、個人で行う株式投資よりもコストがかかるのが難点です。
債券は、国や地方公共団体、企業などが一般の投資家から借入をするために発行される有価証券です。国の発行する債券は、国債と呼ばれています。投資家は債券を購入し、国や企業などの発行者に資金を提供します。満期までの間、購入者は発行者から利子を受け取ることができます。満期日までに発行者が破綻しなければ、支払った金額が払い戻しになり、満期日を待たずに途中解約することも可能です。
債権は、株式投資や投資信託よりも比較的安全性が高く、元本保証があることが大きな特徴です。リスクを回避し、できるだけ安定的に投資を行いたいという人なら、1万円から購入可能で、半年ごとに利子を受け取れる個人向け国債を利用するのがよいでしょう。
円預金に比べてお金を増やしやすいのが、外貨預金です。外貨預金は、通貨によっては高金利になる場合も多く、金利による利益を得やすいのが大きな魅力といえます。
円安のときに外貨預金を引き出せば、為替差益を得ることができます。反対に、円高が進むと外貨の資産価値が低下し、外貨預金を引き出すことで為替差損が生じます。しかし、元本が減少しても、利息が減少分以上にあれば、利益を得ることが可能です。また、預け入れや払い戻しには為替手数料が発生します。
外貨預金は仕組みが分かりやすく、初心者もでも比較的始めやすい投資方法です。「円預金だけでは不安を感じる」という人は、元本に利息が組み込まれる形で金利が得られる複利型を利用し、長期で安定的な運用を始めてみるのもよいかもしれません。
投資方法としてよく耳にする不動産投資やFXの運用は難しいため、初心者なら注意が必要です。不動産投資は短期的な投資ではなく、中長期的な運用を視野に入れなければなりません。利回り15%以上を超えるのは非常に難しく、利益を得るためには数年単位の時間がかかります。また、不動産購入費用や初期費用も必要になり、空室や資産価値低下のリスクも考えなければなりません。
短期間で数千万円の金額を稼いだという話を耳にすることも多いFX。FXはかけ方次第でハイリターンを目指せる魅力があるものの、その分ハイリスクになります。また、実際にFXで稼げるようになるには、チャートの見方や手法などを勉強し、知識を得ることが大前提。病院での勤務前後や休日を利用し、多くの時間をFXの知識の勉強に費やす必要があります。
このように不動産投資やFXを行うのは、初心者には難しく、あまりおすすめできません。
看護師が副業や投資をするなら、体力的にも時間的にも本業に影響がない範囲で行うことが大切です。まずは、1週間で副業や投資に使える時間を割り出し、目標金額を設定しましょう。そして、自身の得意分野と苦手分野を理解したうえで、始めやすいものを選んでください。
看護師の仕事と両立しながら、無理のない範囲で副業や投資を行っていきましょう。